城下町だった佐倉には、さまざまな「もののけ」に関する話が残っています。それらの一部を紹介しましょう!

その一 佐倉城の門にあらわれる化け猫(ばけねこ)

佐倉城の一の門(いまの佐倉城址公園本丸広場のあたり)では、寒い夜に大きな猫が3、4匹、土器をくわえてやってくる。炭を入れて火をおこし、かわるがわるお尻をあぶってあたたまり、火が消えるとみなどこかへ行ってしまうという・・・。

その二 下屋敷の広間には・・・

 下屋敷の広間にはたぬきがやってきて腹鼓(はらつづみ)を打って、その音が聞こえるという。
 それだけで何か悪さをするというわけではない。
 

その三 へび坂での怪奇現象(かいきげんしょう)

 佐倉城の椎木門から鹿島橋の方へ降りるへび坂では、夜になって通ると杉並木の上の方から大勢の木遣りの声が聞こえてくるという。
 また、提灯を持たずに坂を歩いていた藩士はいつの間にか杉並木のてっぺんまで引き上げられてしまい、詫び言(わびごと)を言ってあやまり地上に戻されたという。
 

その四 倒れていた大きな松

 佐倉城本丸周囲の帯曲輪の水堀を通りかかった藩士が、倒れていた大きな松の木を持っていた杖でたたいたところ、杖は二つに折れ大木がにわかに動き出し堀へ飛び込んだという。
 この動き出した大木は、この堀の主のうわばみ(大蛇)であるという。
 

その五 天狗(てんぐ)の仕業(しわざ)

 大蛇町にあった文珠寺で雑用をしていた男が大きな山伏に京都の祇園(ぎおん)祭見物に連れられて一日で行って帰ってきたという。この話を聞いた和尚は、これは天狗の仕業にちがいないと語ったという。

 また、天狗の仕業として、直弥の村人たちが御嶽へ参詣した際の話もある。

 山でだされたジャガイモの味のわるさを語っていると、翌朝は自分の畑のものと同じ味の芋を出された。何処の芋か尋ねたところ、すぐに直弥に行って村人のザルをかりて畑から取ってきたという。
その証拠に村人のザルを示し、帰って調べたところ畑の芋は掘り取られていたという。
 

その六 大きな足跡(あしあと)

 城から大篠塚に入る道の左側に、かなり大きな足跡の形をしたくぼ地がある。
 「デーダラボー」と呼ばれ、巨人の足跡と考えられている。広さが約一畝(1アール)あるので、雲をつくような大男の足跡である。