佐倉市立美術館

佐倉市立美術館

展覧会

平成20(2008)年度の展覧会

佐倉・房総ゆかりの作家たち—版画作品を中心として

  • 期間
    2008年4月5日(土)~6月1日(日) 終了しました
  • 会場
    佐倉市立美術館2階展示室
  • 観覧料
    無料

印西市在住の小林ドンゲ(1927年-)はエングレーヴィングという先端を鋭く研いだ刃物(ビュラン)で銅版を直接彫ってゆく技法によって独自の表現を確立しました。小林は文学や能への関心も深く、堀口大學から詩集の挿絵や装幀を託されるなど、その仕事は早くから高い評価を受けていました。
市川市在住の多賀新(1946年-)は独学による多彩な銅版画技法を駆使して、人体の解剖図などから展開した幻想的な世界を描いています。
本展では、千葉県ゆかりの2人の銅版画家の代表的な作品を中心に展示します。そこに浜口陽三(1909年-2000年)や池田満寿夫(1934年-1997年)、清原啓子(1955年-1987年)らの代表的な版画を加え、その特色を比較し、銅版画の鋭く、美しい線の魅力について考えてみようというものです。

池田満寿夫 IKEDA, Masuo 1934–1997年
前衛画家・瑛九との出会いから銅版画を始め、約10年後には当時の世界最高峰といえる第33回ヴェネチア・ビエンナーレ展で版画部門大賞を受賞。戦後最も成功した作家の一人。深沢幸雄と交流があった。
その後も小説家、映画監督、陶芸家など、表現の枠を越えて活躍。「楽園に死す」はヴェネチアにおける受賞作の一つ。

清原啓子 KIYOHARA, Keiko 1955–1987年
深沢幸雄の教えを受けた。
31歳で亡くなった清原の後期作品にあたる「凍花天使」は、銅版画の最も基本的な技法・エッチングのみで描かれている。清原はある時期からこの技法特有の細い線と点にこだわり、その幻想的な画風を確立していった。そのため制作には膨大な時間がかかり、遺された版画作品は30点しかない。

小林ドンゲ KOBAYASHI, Donge 1927年–
印西市在住。最も古典的な銅版画技法・エングレーヴィングを駆使し、独自の世界観を確立した。大変難易度が高いことでも知られるこの技法で成功している作家は今日では希少。本展では銅版画の原版2点も公開。

多賀新 TAGA, Shin 1946年–
独学による多彩な銅版画技法を駆使して、人体の解剖図などから展開した幻想的な世界を描いてる。近年では江戸川乱歩の小説をテーマとした銅版画の画集等を発表。市川市在住。

浜口陽三 HAMAGUCHI, Youzo 1909–2000年
就学期を銚子で過ごす。
ブリタニカ百科事典に「20世紀半ばの最も有名な孤高ともいうべき、この道の主導者・浜口陽三は、(中略)カラーメゾチントという版画技法を開拓した。」と記されているように、渡仏時に習得した銅版画を基軸とし、独自に開発したカラーメゾチント等の静謐かつ詩的な表現によって世界的評価を得ている。

深沢幸雄 FUKAZAWA, Yukio 1924年–
市原市在住。
銅版画の多様な技法を駆使し、心理的世界の描出から叙事詩的世界まで、作風の変遷を重ね、近年は「人間劇場」と題し、日常のささやかなドラマを描いている。

  • イベント

    〇学芸員による解説
    平成20年4月12日、26日/5月10日、24日 終了しました
    各午後2時より佐倉市立美術館2F展示室


佐倉・房総ゆかりの作家たち—新収蔵作品を中心に—

  • 期間
    2008年6月6日(金)~7月27日(日) 終了しました
  • 会場
    佐倉市立美術館2階展示室
  • 観覧料
    無料

佐倉市立美術館では、「佐倉・房総ゆかりの作家たちの作品」を柱の一つとして調査・研究を進めています。昨年度は、新たに柴宮忠徳の油彩画1点、水彩画17点をご寄贈いただきました。
柴宮忠徳(昭和13年長野県生~平成19年佐倉市没)は、赤・青・黄色または緑・橙・紫といった鮮烈な色彩による幻想的な作品を立軌会や個展に発表した作家です。作家として活動する一方、佐倉美術協会や市内の公民館での講師・サークルの指導にあたり、積極的に地域の美術活動の普及にも貢献しました。
本展では、柴宮忠徳の作品とともに、日本近代洋画の先駆者・浅井忠や佐倉で晩年を過ごした水彩画家・荒谷直之介、金工家の香取秀真や津田信夫などの油彩画・水彩画・工芸品約40点を紹介します。

柴宮忠徳(昭和13年~平成19年)
逝去するまでの25年間を佐倉で過ごした柴宮は、少年時代に過ごした信州の自然と佐倉の生活を重ね合わせ、周辺の花や樹木の素描、水彩を繰り返し描きました。近年、数多く描いていた水彩画では、京成沿線の自宅附近の風景や印旛沼のほとり、季節の果物や植物など身近なものを題材に、清澄な世界が表現されています。

浅井忠(安政3年~明治40年)
浅井は、佐倉藩士の子として生まれ、7歳頃から約10年間、佐倉の将門で過ごしました。上京し、近代日本洋画界の中心的な存在として活躍しました。明治27年に勃発した日清戦争では、浅井は従軍画家となり、戦場を題材に臨場感あふれる作品を制作しました。この作品は、大陸に向かい、遼東半島東岸の花園口に軍隊が上陸した時の様子を描いたものです。

荒谷直之介(明治35年~平成6年)
晩年を佐倉で過ごした荒谷は、赤城泰舒に師事し、黒田清輝らが指導していた葵橋洋画研究所で学びました。昭和15年、春日部たすく、小堀進らと水彩連盟を結成し、水彩画の質的向上を目指しました。荒谷は、水彩画による人物表現を追求し、ヒューマニズム溢れる独自の世界を確立しました。

  • イベント

    〇ギャラリートーク
    平成20年6月14日、28日、7月12日、26日(各土曜日) 終了しました


ハウステンボス美術館所蔵 エッシャー展 永遠なる迷宮

  • 期間
    2008年8月1日(金)~9月23日(火・祝) 終了しました
  • 会場
    佐倉市立美術館2・3階展示室
  • 観覧料
    一般800円(640円)、高校・大学生600円(480円)、小・中学生400円(320円)、小学生未満無料
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※9月15日(敬老の日)は65歳以上のかたは無料
エッシャー展 永遠なる迷宮

オランダが生んだ版画の鬼才・M.C.エッシャー(1898-1972)。
そのトロンプ・ルイユ(だまし絵)は社会的なブームを巻き起こし、現在は美術の教科書にもとりあげられています。
日本でも人気の高いエッシャーの不思議な世界を、国内最大といわれるハウステンボス美術館のコレクションにより紹介します。

■作家について
マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher)は1898(明治31)年にオランダ北部のレーワールデンに生まれました。ハールレムの建築装飾美術学校に入学した折、21歳のエッシャーに建築よりも装飾芸術の才能を見出した恩師のすすめで高度な版画技術(木版画、銅版画、リトグラフ)を習得しました。その後、25歳の時にイタリアに渡り、同地に住みながら、各地を旅行して風景や建築をスケッチし、それを元に多くの版画を制作し始めました。
1936(昭和11)年、エッシャーはグラナダ(スペイン)のアルハンブラ宮殿を飾るモザイクの幾何学模様に大きなインスピレーションを得ます。そこから平面を規則的に分割する方法を用いて人間や動物などのモチーフを、連続や循環、変容させてゆく独自の表現方法を確立していきました。迷宮のようなそのイメージの宇宙には、自然という三次元の世界と絵画という二次元の世界をめぐるエッシャーの深い思索と豊かな詩心が息づいています。エッシャーの迷宮をめぐる無限への探求は1972(昭和47)年に74歳で亡くなるまで続きました。
晩年には美術だけでなく、数学や心理学などの他分野からも注目を集めていたエッシャーは、今日ではオランダを代表する作家の一人として国際的に高く評価されています。本展では、世界有数のコレクションとして知られる長崎のハウステンボス美術館が所蔵する版画作品114点、立体作品2点やタペストリー等2点、版木7点など144点を一堂に展示し、初期から晩年にいたるエッシャーの全貌をご紹介いたします。他に類を見ないエッシャーの迷宮世界をこの機会に是非お楽しみください。

【出品点数】 144点
【主催】 佐倉市立美術館
【特別協力】 ハウステンボス美術館
【後援】 オランダ王国大使館
【企画・運営協力】 株式会社キュレイターズ

  • イベント

    〇ワークショップ(1)みんなで美術館大改造!?—エッシャーの不思議な床に変えちゃおう
    日時 8月9日(土) 1回目10:30~、2回目13:00~ 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 1階ロビー
    対象 小学3年生~一般
    定員 各回20人 (先着順)
    参加無料
    申込 ワークショップ名・希望する回と住所・氏名・電話番号・人数を明記のうえ、はがき・ファクス・Eメールのいずれかで、佐倉市立美術館ワークショップ係まで。


    〇ワークショップ(2)作ろう!オリジナルスタンプ—連続模様でエッシャーに挑戦
    日時 8月24日(日) 1回目10:30~、2回目13:00~ 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 1階ロビー
    対象 小学5年生~一般
    定員 各回12人 (先着順)
    参加無料
    申込 ワークショップ名・希望する回と住所・氏名・電話番号・人数を明記のうえ、はがき・ファクス・Eメールのいずれかで、佐倉市立美術館ワークショップ係まで。


    〇プレ・イベント エッシャーって、こんな人でした。~「M.C.エッシャー」DVD上映会
    エッシャー展に先駆けて、エッシャーの人物像にせまるドキュメンタリーを上映します。これを見てから展覧会を見れば、2倍楽しめる…かも。
    日時 7月29日(火)~7月31日(木) 終了しました
       11:00~、14:00~(約1時間) 場所 佐倉市立美術館 4階ホール
    上映作品 「M.C.エッシャー」(1998年/オランダ、59分)
    入場無料・申し込み不要 (団体の場合は事前にご連絡ください)

    ★エッシャー展限定グッズをミュージアムショップで先行販売します!


    〇ギャラリー・トーク
    日時 8月2日(土) 11:00~、13:00~ 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 3階展示室より
    講師 安田恭子氏 (ハウステンボス美術館館長代理)
    参加無料・申し込み不要 ※聴講には観覧券が必要


    〇記念ミュージアム・コンサート
    日時 8月17日(日) 14:00~ 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 1階ロビー
    演奏者 寺田悠介氏
    曲目 J.S.バッハ 「無伴奏チェロ組曲第1番、第3番」
    参加無料・申し込み不要


    〇学芸員による解説
    日時 8月10日(日)、23日(土)、9月7日(日)、14日(日) すべて14:00~ 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 3階展示室より
    参加無料・申し込み不要 ※聴講には観覧券が必要


    〇不思議なおもちゃで遊ぼう
    パズルなど、エッシャーの作品をもとにした不思議なおもちゃを体験できます。
    日程 期間中毎日 終了しました
    場所 佐倉市立美術館 1階エントランスホール
    参加無料・申し込み不要

    ◆おもちゃ体験をお手伝いしていただけるボランティアを募集しています。
     詳細は「エッシャーボランティア募集」のページをご覧ください。


佐倉・房総ゆかりの作家たち—佐藤 事 展

  • 期間
    2008年10月24日(金)~11月24日(月・祝) 終了しました
  • 観覧料
    無料

二紀会や三軌会、記号派美術協会で活躍する一方、戦後の佐倉の美術振興に尽力した洋画家・佐藤事(さとう・つかさ、1915-1999)を紹介します。


第27回 新春佐倉美術展

  • 期間
    2009年1月6日(火)~1月18日(日) 終了しました
  • 観覧料
    無料

佐倉を拠点として活動する現代作家の絵画、彫刻、工芸、書作品を一堂に集めて紹介します。
絵画・工芸は公募、審査による入選者、彫刻・書は実行委員会による選抜)


第2回 アート・フォト・サクラ ~アートを感じる写真展~

  • 期間
    2009年1月23日(金)~2月1日(日) 終了しました
  • 観覧料
    無料

今年度が第2回目となる、「アートを感じる写真」の公募展。
今年度のテーマは、「LIFE ~アートはすぐそばにある~」です。あなたが思う「アート」を、写真で表現して、応募してみよう!
→作品募集の詳細はこちら
→来場者アンケート結果はこちら


生誕100年 山川惣治展—少年王者・少年ケニヤのいた昭和

  • 期間
    2009年2月7日(土)~3月22日(日) 終了しました
  • 会場
    佐倉市立美術館2・3階展示室
  • 観覧料
    一般600円(480円)/大学・高校生400円(320円)/中学生以下無料
    ※( )内は前売り及び20名以上の団体料金
山川惣治展

昭和20~30年代に大ブームを巻き起こした、「少年王者」や「少年ケニヤ」を描いた山川惣治を紹介します。山川は作品をはじめは街頭紙芝居、後に「絵物語」という形式で発表しました。手数の込んだペン画、映画のワンカットを思わせる構図や場面転換など、山川の描いた世界は劇画などにも影響を与えたと言われています。
本展では、横尾忠則氏所蔵の最晩年の油彩画など、弥生美術館で開催された展覧会(2008年4月~6月)にはなかった作品も出品されます。昭和とともに歩み、晩年を佐倉で過ごした、山川惣治の初期から晩年までの作品を一望できる展覧会です。

主催 佐倉市立美術館
特別協力 弥生美術館
企画協力 株式会社ジェイコム

  • イベント

    〇美術館が昭和30年代にタイムスリップ!
    美術館エントランスホールの一角に、懐かしい風景が出現します。


    〇再現! 街頭紙芝居
    山川の創作活動のルーツとも言える街頭紙芝居を、数少ない現役の紙芝居師が再現します。
    日時 3月1日(日) 午前11時~、午後2時~、午後4時~ 終了しました
    場所 美術館中庭
    出演 永田為春
    演目 漫画「お山の金ちゃん」、活劇「黄金バット」、時代物「変幻蛇童丸」 ※演目は変更になることがあります。


    〇ギャラリートーク
    担当学芸員が展示解説を行います。
    日時 2月14日(土)、28日(土)、3月14日(土) 各午後2時~ 終了しました
    場所 美術館展示室内
    ※聴講は無料ですが、展覧会の観覧券が必要です。


■アートプロジェクト事業
アートプロジェクト2008 むこうのさくら (終了しました) 千葉県佐倉市と北海道河東郡士幌町、それぞれの佐倉小学校がアートを通じて交流しました。
→詳細はこちら


■その他 平成20年度の小企画
長崎絵と横浜絵 ―異文化へのまなざし (終了しました) 2008年6月10日(火)〜6月29日(日)
エントランスホール