DIC川村記念美術館の発表について、千葉市近隣美術館連絡会から声明を発表しました
先日DIC株式会社が開示した美術館運営に関するお知らせについて、この地に根付いた文化資産がこれまでどおり佐倉市に存続し、従来の活動を展開されることを願い、当館を含む千葉市近隣美術館連絡会は以下の声明を発表しました。
報道関係各位
令和6(2024)年9⽉17⽇
千葉市近隣美術館連絡会
佐倉市⽴美術館
千葉県⽴美術館
千葉市美術館
成⽥⼭書道美術館
DIC川村記念美術館の発表について(声明)
去る令和6年8⽉27⽇に、DIC株式会社が開⽰した「美術館運営」に関するお知らせ(「価値共創委員会による「美術館運営」に関する助⾔並びにそれに対する当社取締役会の協議内容と今後の対応についての中間報告」)について、私たち「千葉市近隣美術館連絡会」は、その内容の重要性をしっかり受け⽌め、事態を冷静に⾒極めつつ、以下のような考え⽅をとりまとめて表明いたします。
はじめに、数々の困難を乗り越えながら、1990年にDIC川村記念美術館を創設し、34年にわたって運営されてきたDIC株式会社および創業家の川村家に対し、⼼よりの敬意と深甚の感謝の意を表します。
⻄洋の近現代美術を軸としたそのコレクションは、内外から⾼く評価されています。またそのコレクションを核にした展⽰活動、研究活動、⼤きな展⽰室を前提とした教育普及活動は先駆的なものを多数含み、それらが来館者への上質なサービスとともに提供される空間は⽇本の美術館の指針の⼀つとなるものであり、多くの美術ファンに愛され、楽しまれてきました。近隣美術館もその真摯な活動に常に刺激を受け、連携する中で多くを得てきたことに、深く感謝しております。こうしたコレクションとその活動が、佐倉市の広⼤で美しい敷地のなかに、⼀体となって⽰されてきたことこそに、⼤きな意義やその理由があると信じます。江⼾期から続く豊かな⽂化を背景に、実績ある美術館と博物館が集中した稀有なこの地域と、DIC川村記念美術館が融合された環境は、あるべき美術館の姿の、⼀つの典型だとも考えられます。
現在、DIC株式会社がさまざまな経営課題を抱えておられ、美術館の公益性や企業の社会貢献の側⾯のみにとらわれていたら、事業を継続させることが難しい事態だということを⼗分に理解しています。しかしあえて、私たち千葉市近隣美術館連絡会は、DIC川村記念美術館がこれまでどおり佐倉市に存続し、従来の活動を展開されていくことを願っています。コレクションと活動の「ダウンサイズ」が不可避であったとしても、この地で歴史をつないでいかれることに、⼤きな希望と期待をもっています。
※千葉市近隣美術館連絡会とは:
千葉市近隣の美術館が、相互の運営が円滑に進むように連絡会を催すなどの活動をするため、平成11(1999)年に発⾜した組織です。現在、佐倉市⽴美術館、千葉県⽴美術館、千葉市美術館、DIC川村記念美術館、成⽥⼭書道美術館(50⾳順)の計5館が加盟しています。これまで、年度毎にさまざまな情報交換・意⾒交換するほか、企画の連携や巡回バスの共同運⾏などの事業を⾏ってきました。
※本件の問い合わせ先:
千葉県⽴美術館(千葉市近隣美術館連絡会担当)
電話:043-242-8311
なお、千葉県佐倉市公式ウェブサイトでは、DIC川村記念美術館の佐倉市での存続を求める署名を集めています。 ※2024年9月30日に終了しました。