公害紛争処理制度について
1.公害紛争処理制度の仕組み
公害紛争の迅速・適正な解決を図るため、裁判の手続とは別に、「公害紛争処理法」により公害紛争処理制度が設けられ、公害紛争を処理する機関として、国に公害等調整委員会が、都道府県には都道府県公害審査会等が置かれています。これらの機関は、それぞれの管轄に応じ、独立して紛争の解決に当たっていますが、制度の円滑な運営を図るため、情報交換などを通じ相互の連携を図っています。
公害紛争処理制度は、公害紛争を民事訴訟で争った場合、その解決までに多くの時間と費用がかかるなど、被害者の救済の面では必ずしも十分でなかったことから生まれた制度です。
2.公害紛争処理制度とは
(1)公害紛争処理手続の種類
公害紛争処理制度では次の4つの手続を設けています。いずれも原則として当事者の申請に基づいて手続が開始されます。
種類 | 概要 |
---|---|
あっせん | あっせん委員が紛争の当事者間に入り、交渉が円滑に行われるよう仲介することにより、当事者間における紛争の自主的解決を援助、促進する手続。 |
調停 | 調停委員会が紛争の当事者を仲介し、双方の互譲による合意に基づき紛争の解決を図る手続。あっせんと類似しているが、調停委員会が積極的に当事者間に介入し、手続をリードする点が異なる。 |
仲裁 | 紛争の当事者双方が裁判所において裁判を受ける権利を放棄し、紛争の解決を仲裁機関である仲裁委員会にゆだね、その判断に従うことを約束(仲裁契約)することにより紛争解決を図る手続。 |
裁定 | 当事者間の紛争について裁定委員会が法律判断を行うことにより、紛争解決を図る手続。裁定には、原因裁定と責任裁定の2種類がある。 |
原因裁定 | 申請人が主張する加害行為と被害発生との間の因果関係について裁定委員会が法律判断を行う手続。 |
責任裁定 | 損害賠償問題に関する紛争について、裁定委員会が損害賠償責任の有無及び賠償額の法律判断を行うことにより、紛争解決を図る手続。 |
(2)公害紛争処理制度の対象
公害紛争処理制度の対象となる紛争は、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる民事上の紛争とされ、具体的には、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭による被害に係るものであり、環境をめぐる紛争の大部分がこれに当たります。
また、この場合の被害は、既に発生しているもののほか、将来発生するおそれのあるものも含まれます。「相当範囲にわたる」についても、ある程度の広がりがあれば、被害者が1人の場合でもこの制度の対象となります。
3.公害紛争処理機関の管轄
公害紛争を処理する機関としては、国に公害等調整委員会が、都道府県には都道府県公害審査会等が置かれています。公害等調整委員会と都道府県公害審査会等は、それぞれの管轄に応じ、独立して紛争の解決に当たっています。
都道府県公害審査会等 |
あっせん、調停、仲裁公害等調整委員会が扱う紛争以外の事件 |
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公害等調整委員会 |
あっせん、調停、仲裁
裁定すべての事件 |
(注意)詳細については、総務省公害等調整委員会及び千葉県公害審査会のホームページをご覧ください。
更新日:2022年06月01日