第3次佐倉市地域福祉計画 音声読上げ用HTMLファイル

更新日:2022年06月01日

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タイトル

第3次佐倉市地域福祉計画(佐倉市地域福祉ビジョン) 「であい」、「ふれあい」、「つきあい」から始まる地域の輪。 平成28年3月 佐倉市

はじめに

現在、我が国の総人口が減少する中、本市においても少子高齢化が急速に進行し、平成22年以後は、高齢化率が21%を超える超高齢社会となっております。こうした状況の中、地域を取り巻く環境が大きく変化し、地域福祉に対するニーズも増加・多様化しております。 本市では、これまで、平成20年度から22年度までを計画期間とする「佐倉市地域福祉計画」、平成23年度から27年度までを計画期間とする「第2次佐倉市地域福祉計画」を策定し、成年後見支援センターの整備など、地域福祉の推進に取り組んでまいりました。 このたび策定した「第3次佐倉市地域福祉計画」は、これまでの計画を見直し、地域における住民相互の協力や支え合い・助け合いの重要性に着目し、地域で暮らす人と人のつながりを再構築することで、住民の交流活動や地域福祉活動が活発化することを目的としております。そして、「住民自らが、地域で活動し、支え合い、助け合いができる地域」を目指すことを計画の基本的方針として掲げました。 住み慣れた家や慣れ親しんだ地域で、いつまでも自分らしく、いきいきと安心して暮らし続けることは、私たち市民すべての願いです。そのためには、住民参加にもとづく市民と行政の協働により、住民や地域、関係団体、行政等が、地域の様々な課題の解決を連携して進めて行くことが非常に重要であると考えております。本計画を着実に推進し、佐倉市がより暮らしやすいまちになるよう取り組んでまいりますので、今後とも、市民の皆様におかれましては、一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 結びに、本計画の策定に当たり、事例調査をはじめとする策定作業において貴重なご意見をお寄せいただきました皆様、ご尽力をいただきました「佐倉市地域福祉計画推進委員会」委員の皆様に、この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。 平成28年3月 佐倉市長 蕨 和雄

目次

  • 第1章 第3次佐倉市地域福祉計画について
    1.  計画策定にあたって
    2.  計画の期間
    3.  計画の位置付け
  • 第2章 地域の現状
    1.  人口減少、少子高齢化 超高齢社会
    2.  地域における様々な課題
    3.  自助、互助・共助、こうじょ
  • 第3章 地域の未来像
    1.  地域のつながり
    2.  「であい」、「ふれあい」、「つきあい」
    3.  新たな地域の活性化
    4.  これから目指す地域像
  • 第4章 佐倉市の取り組み
    1.  基本施策
    2.  成果指標
    3.  計画の進行管理 コラム1 地域づくりって何だろう?
  • 第5章 地域のためにできること
    1.  地域を歩こう。あいさつしてみよう。
    2.  気軽に集おう。
    3.  声を掛け合おう。誘い合おう。
    4.  子育てを応援しよう。
    5.  絆をつくろう。
    6.  安全・安心のかけ橋になろう。
    7.  支え合い、助け合いに参加しよう。
    8.  違いを認め合おう。 コラム2 “笑顔”と“あいさつ”から始まる地域のつながり
  • 資料
    1.  「第3次佐倉市地域福祉計画に向けた提言」(平成26年1月)(抜粋)
    2.  「第2次佐倉市地域福祉計画報告書」(平成27年10月)(抜粋)
    3.  佐倉市地域福祉計画推進委員会委員名簿

第1章 第3次佐倉市地域福祉計画について

1 計画策定にあたって

昭和26年に制定された社会福祉事業法は、社会福祉基礎構造改革の検討を経て、平成12年6月に社会福祉法(以下「法」という。)へと変わりました。これにより、福祉サービスが、それまでの措置制度から契約制度に移行されるとともに、「地域福祉の推進」が国の福祉政策の大きな柱として掲げられることとなりました。 地域住民は、“地域福祉を推進する担い手”とされ、法第4条に、「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」との規定が置かれました。 また、法第107条に、「(1)地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項、(2)地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項、(3)地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項を、一体的に定める市町村地域福祉計画を策定する際には、市町村は、住民等の意見を反映し、計画の公表等に努めなければならない」と規定され、法定計画として地域福祉計画が位置づけられました。 佐倉市では、平成20年3月に「第1次佐倉市地域福祉計画」を策定し、続いて、平成23年3月に「第2次佐倉市地域福祉計画」を策定しました。第1次及び第2次の佐倉市地域福祉計画の内容は、住民の生活課題を広範に収集し、それらの課題を解決するための具体的な取組みを重点的に取り上げたものでした。 一方、佐倉市では、佐倉市総合計画(以下「総合計画」という。)において、まちづくりの基本方針である「基本構想」の実現を目指して、推進すべき施策を体系的に定めているほか、法令等に基づき、高齢者福祉、障害福祉、子育て支援、健康増進、青少年育成、男女平等参画及び防災等について、それぞれに分野ごとの行政計画(以下「個別計画」という。)を策定しており、それらに基づいて施策が推進されています。 これまでの地域福祉計画は、その策定過程において、地域で住民が抱えている様々な課題を明らかにすることができましたが、計画の内容をみると、個別計画の施策を再掲載したものが多数あることが認められます。この点については、佐倉市地域福祉計画推進委員会が平成27年10月31日に発表した「第2次佐倉市地域福祉計画報告書」において、「個別計画や総合計画との役割分担等の整理が不十分である」との指摘がされています。 そのため、第3次佐倉市地域福祉計画(以下「第3次地域福祉計画」という。)の策定にあたっては、個別計画との役割(機能)の分担など、地域福祉計画の必要性や計画の在り方について抜本的な見直しを行いました。 その結果、法第107条に規定されている市町村地域福祉計画において定めるべき事項のうち、「(1)地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項」及び「(2)地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項」については、個別計画において福祉サービスの提供及び社会福祉を目的とする事業に関する取り組みが規定されていることから、第3次地域福祉計画は、「(3)地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項」を重点的に規定する計画とすることとしました。 また、住民はもとより、地域で活動している団体や事業所、専門機関や行政等が連携して、従来の公的サービスだけでは解決できなかった課題や、今後想定される新たな課題の解決を図り、地域で生活する誰もが、住み慣れた家や慣れ親しんだ地域で、安心して幸せに暮らすことができ、「この地域に住んで良かった」、「この地域に住み続けたい」と思っていただけるような地域づくりを進めることを第3次地域福祉計画の基本方針として、策定作業を進めました。 更に、計画書の編集にあたっては、住民一人ひとりが地域づくりに参加する際に、計画書をガイドブックとして活用できるように、住民が主体となって地域で取り組まれている活動事例などを数多く掲載することにしました。

2 計画の期間

第3次地域福祉計画は、第4次佐倉市総合計画・後期基本計画と整合性を持たせるため、平成28年度(2016年)を初年度として、平成31年度(2019年)を最終年度とする4年計画とします。

3 計画の位置付け

第3次地域福祉計画は、第4次佐倉市総合計画・後期基本計画を上位計画とし、法第107条に基づく市町村地域福祉計画として策定しています。 第3章において、佐倉市における地域福祉推進のための共通の目標となる、目指すべき地域の未来像をビジョンとして提示し、第4章において、法に規定されている地域福祉を推進するための個別の施策のうち、「(3)地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項」に焦点をあてて、その取組みの方向性を定めています。

ちょこっと解説

佐倉市の個別計画 佐倉市は、法令等に基づき、高齢者福祉、障害福祉、子育て支援、健康増進、青少年育成、男女平等参画、防災等について、分野ごとに個別計画を策定しています。ここでは、個別計画について解説します。

  • 「子ども・子育て支援事業計画」: 「子ども・子育て支援法」 第61 条に基づく市町村子ども・子育て支援事業計画。国より示された「教育・保育及び地域子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども・子育て支援給付及び地域子ども・子育て支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針」に基づき、平成27年3月に策定。
  • 「障害福祉計画」: 「障害者総合支援法」第88条に基づく市町村障害福祉計画。国の基本指針に即して、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業について、佐倉市の特性や独自の課題等をふまえ、必要な事業の見込み量、見込み量を確保するための方策を定める計画。平成27年3月に第4期計画を策定。
  • 「障害者計画」: 「障害者基本法」 第11条第3項に基づき、障害者施策に関する基本的な考え方や方向性を明確化するための計画。平成28年3月に第5次改訂版計画を策定。
  • 「高齢者福祉・介護計画」: 「老人福祉法」 第20 条の8に基づく市町村老人福祉計画及び「介護保険法」 第117 条に基づく市町村介護保険事業計画。平成27年3月に第6期計画を策定。
  • 「健康増進計画」: 「第4次佐倉市総合計画(平成23年度~平成31年度)」に基づき、市民の健康づくりや健やかな親子づくりを進めるための、具体的な考え方や取り組み方法を示した計画。国の健康増進計画である「健康日本21」、母子保健の推進計画である「健やか親子21」とも整合性を保ち、それぞれの計画の趣旨を踏まえつつ、佐倉市の地域性を尊重した計画。平成25年2月に第2次計画を策定。

第2章 地域の現状

1 人口減少、少子高齢化 超高齢社会

佐倉市では、平成12年以降、緩やかに人口が伸びてきましたが、平成23年の178,199人をピークに減少傾向に入り、平成26年には177,723人となりました。 現在直面している人口減少は、単なる人口規模の減少ではなく、高齢者(65歳以上)の増加と生産年齢人口(15歳~64歳)の減少という「人口構造」の変化を伴うものであり、地域に大きな影響を与えることが予測されています。 佐倉市の高齢化率(65歳以上の高齢者の割合)は、介護保険制度が導入された平成12年度(平成13年3月末現在)では12.8%でしたが、平成26年度(平成27年3月末現在)には27.5%となっており、団塊の世代の高齢化に伴い今後もその率は増加していくことが予想されます。平成32年には、市内8地区のうち5地区で高齢化率が30%を超えることが予測されています。 一方、年少人口(0歳~14歳)及び生産年齢人口(15歳~64歳)の比率は、今後とも減少が続くことが見込まれます。 また、合計特殊出生率は、徐々に増加してはいるものの、平成25年の国の人口置き換え水準である2.07には及ばない状況となっています。 こうした人口構造の変化に加え、高齢者のみの世帯や「ひとりぐらし」の高齢者等の増加により、地域住民や民間事業者等による見守りや介護サービスをはじめとする何らかの支援が必要なかたがますます増加していくことが見込まれます。また、このような中で、健康寿命延伸への取組み、病気や心身の能力が低下状態(虚弱、要支援・要介護状態)となった人を支える看護と介護、「ひとりぐらし」や引きこもり等に対応する支援など、医療、保健、福祉の水準の維持・向上を図っていくためには、どうすれば良いか。そのための財源、担い手の確保をどのようにしていくのか等の課題があります。

2 地域における様々な課題

人口構造や経済状況が大きく変化する中で、住民の価値観や暮らし方も多様化し、それに伴い、地域の課題も複雑化しています。 近年では、隣近所とのつきあいや交流を持たず、地域の中で孤立する家庭や個人が見られます。老老介護や障害者を介護する親の高齢化等の問題に直面している家庭があることも懸念されます。また、生活不安や過度なストレスに起因すると思われる疾病や自殺、ひきこもり、家庭内暴力等の問題も存在しています。 また、佐倉市には、昭和50年前後に市内各所で宅地開発が進んだことから、その時期にマイホームを購入して市外から転入してきた住民が多いという特性があります。かつては、若い世代の夫婦とその子供たちが大勢いた地域も、現在では、住民の高齢化が進んでいます。それに伴って、地域コミュニティ(近隣との交流、自治会組織や防犯・防災体制等)の力が弱まり、今後、その機能が更に低下することが憂慮されている地域もあります。 そのような状況の中で、災害時等を想定した自主防災体制、消費者被害等から身を守る権利擁護への取り組み等、地域をコミュニティとして再構築していくことが求められており、行政はもとより、地域住民自らが、それらを喫緊に取り組むべき課題として認識して、万全の対応をしていく必要があります。地域まちづくり協議会の設置、自治会等による自主防災組織の設立、防犯パトロール活動の実施等が積極的に展開されている地域もありますので、それらを更に発展させて、広げていく必要があります。

3 自助、互助・共助、こうじょ

今後、少子高齢化の進展の中で、必要十分な福祉の水準を維持していくにあたって、行政が行う既存の福祉サービス(公助)だけで市民の幸福な生活を実現していくことは難しいと思われます。公助を社会状況にあった効果の高いものとするため、不断の努力を続けることに加えて、自己の生活や健康の維持等について主体となって生きていくこと(自助)を支援し、地域でお互いに助け合う仕組み(互助・共助)を醸成するための環境づくりが必要です。また、自助、互助・共助と公助が連携することにより、地域社会の持つ力を総動員する体制を実現することが重要になります。 特に、近隣の助け合いなどの「互助」や、ボランティア活動などによる「共助」の果たす役割について、改めてその重要性を認識する必要があります。「互助・共助」は、地域の課題を住民の手によって自主的に解決する機能であり、相互に助け合う行為は、安心して暮らせる地域社会の実現に大きく寄与するものです。

ちょこっと解説

自助、互助、共助、こうじょとは? 佐倉市地域福祉計画推進委員会が平成26年2月に市長に提出した「第3次佐倉市地域福祉計画に向けた提言」(平成26年1月)では、以下のように定義しています。

  • 「自助」:生活面では自らが主体となり、自ら働き、又は自らの年金収入等により自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するなど、様々な場面で、できる限り主体として生きていくこと。
  • 「互助」:当事者の周囲にいる近しい人が、自身の発意により手をさしのべることで 家族や友人、近隣者が自発的に関わる助け合いのこと。
  • 「共助」:地域や市民レベルでの支え合いや、昔からの助け合いのこと。最近では、ボランティア、NPO法人などによるインフォーマルサポートも該当する。
  • 「こうじょ」:市民の基礎的な生活を支える社会保障制度。生活保護や年金・保険制度など。

この他、厚生労働省の「地域包括ケア研究会 報告書 今後の検討のための論点 整理」では、共助は、「社会保険のような制度化された相互扶助」とされています。また、「佐倉市地域防災計画」では、共助は、「自分たちの地域は自分たちで守る」こととされています。

第3章 地域の未来像

この章では、第2章で示した地域の現状を踏まえて、佐倉市における地域福祉推進のための共通の目標となる、目指すべき地域の未来像をビジョンとして提示します。

1 地域のつながり

かつて地域では、近隣に住む人同士の助け合いが日常的に行われていました。農村部では、同じ集落に住む人々が協力して田畑を耕し、水を利用し、収穫することは、農業を行う上では欠かせないことでした。また、冠婚葬祭の手伝いや急病人が出たときの世話など、「万が一のとき」の助け合いだけでなく、日用品の貸し借りや届け物を預かったり、お裾分けしたりなどといった「日常のとき」も含めて、隣近所同士の協力は、農村部から都市部まで至る所で目にされた光景です。さらに、地域の人との協力関係は、仕事や生活の様々な面にも及んでいました。ところが、経済・社会環境や人々の意識の変化に伴い、かつてあった多面的なつながりに大きな変化が生じ、近年では、従前からあるしきたり等による地域のつながりは希薄化したと言われています。 一方で、特定の目的や課題に対応したボランティア活動やNPO活動などの新たなつながりが増加しており、こうした団体・組織の中には、地域の活性化に有意義な活動を行うものも少なくありません。 こうした現状を見ると、多くの人は、他者と何らかのつながりを求め、つながりの中で自己を見出そうとしているという傾向があると思われます。地域において、様々な活動に取り組む個人や団体等が増加している現状は、かつて強い結びつきがあった「家族」・「職場」以外にも、その人の価値観に応じて、つながりを選択するという意識が高まってきていることの裏付けになっているとも言えます。 少子高齢化の進展への対応や地域のコミュニティの維持のために、あらためて地域における住民同士のつながりの重要性が注目されています。市民意識調査の結果を見ると、多くの人は困った時には近隣住民と助け合いたいと考えています。地域住民同士のつながりは、いざという時の頼みの綱として最も期待されていることの一つとなっています。

参考
地域で安心して住み続けるためには、近隣住民がお互いに手をさしのべ合い、困った時には、支え合い、助けあうなど、住民同士のつながりを大切にする必要があると考えていますが、あなたはどう思いますか。 (1つ選択)(平成27年度市民意識調査報告書より)
  • そう思う 221人
  • どちらかというと思う 108人
  • あまりそう思わない 11人
  • 思わない 3人
  • どちらともいえない 26人
  • その他 0人
  • 無回答 6人
ご近所から、困りごとがあるので相談に乗って欲しい、手助けして欲しいと頼まれた場合、協力すべきだと思いますか。 (1つ選択) (平成27年度市民意識調査報告書より)
  • そう思う 169人
  • どちらかというと思う 127人
  • あまりそう思わない 13人
  • 思わない 3人
  • どちらともいえない 45人
  • その他 11人
  • 無回答 7人

2 「であい」、「ふれあい」、「つきあい」

誰もが、地域において生活する中で、人と「であい」、そこから「ふれあい」、更には「つきあい」へと進展することでお互いの信頼関係が深まります。そうした過程の中で、互いに気づかいが育まれ、住民同士の支え合いや助け合いへと発展していくことが期待されます。 近隣の住民が相互に支え合い、助け合う関係が強まることで、地域における交流活動も活性化し、ひいては地域の見守り活動、自主防災・防犯活動、ふれあい・いきいきサロン等の「見守り・ふれあい活動」や、住民参加型福祉サービス、配食サービス、移動サービス等の「生活支援サービス」のような地域福祉活動の充実にも繋がります。そして、最終的には、地域のコミュニティの再生にも繋がることが期待できます。 第3次地域福祉計画では、「であい」、「ふれあい」、「つきあい」を、住民の日常生活の中で行われる「自助」に相当する活動であると定義します。また、近隣住民が相互に展開する気づかい、支え合い、助け合いは、「互助」に相当し、地域における交流活動の展開や、地域福祉活動の充実につながる「見守り・ふれあい活動」や「生活支援サービス」の取り組みは、「共助」に相当するものと考えます。また、「近隣の自然な気づかい・支え合い・助け合い」を基にした「見守り・ふれあい活動」、「生活支援サービス」へと活動が展開されていくことを「地域の輪」の形成と考えます。 そして、「自助」、「互助」、「共助」の活動を、地域のコミュニティを形成する重要な活動と位置付け、行政が行う「こうじょ」は、地域におけるこれらの活動を下支えする役割を担うものと考えます。従って、行政が行う福祉施策は、「自助」、「互助」、「共助」の促進という視点を持って実施することが重要であると考えます。 地域において住民一人ひとりが「であい」、「ふれあい」、「つきあい」を大切にし、隣近所との日々のあいさつや声かけを気軽に行い、日頃からの気づかいや困った時の支え合い、助け合い等を大切にしていく地域づくりをめざし、地区社会福祉協議会や地域まちづくり協議会等の地域を構成する様々な団体等に更に多くの人が参加するようになっていくための施策を講じる必要があります。

3 新たな地域の活性化

団塊の世代の高齢化に伴い、高齢者の数が増え、高齢化率も上昇しています。それに伴い、要介護の人をはじめ、何らかの手助けを必要とする人の数も更に増加していくものと考えられます。しかし一方で、現状を見ると、介護保険の要支援・要介護認定を受けているのは、65歳以上の15%程度の方々にすぎません。 団塊の世代をはじめ高齢者は、日本の高度成長期を牽引するなど、日本をリードしてきた世代であり、豊富な知識や経験、技術を持ち、活力にあふれた世代です。今後は、地域の担い手として、高いポテンシャルを持った団塊の世代の活力ある高齢者が数多く地域に存在することになります。 かつて宅地開発に伴い転入してきた団塊の世代にとって、故郷は自分が生まれ育った余所の土地であろうと思われますが、団塊ジュニアとその子どもたちの世代は、佐倉で生まれ育った人が多くなっています。佐倉に代々居住している世帯が多い農村部だけでなく、都市部においても佐倉を「我が故郷」と感じている世代が増えつつあり、そうした人々が地域の様々な活動に参加しやすい環境を整備することで今後の地域づくりにプラスの影響をもたらすと思われます。 また、佐倉市には、民生委員・児童委員をはじめ、ボランティアや自治会、自主防災組織、地域まちづくり協議会、地区社会福祉協議会、NPO法人などの「地域資源」が数多く活動しています。こうした団体の活動を行政が下支えすることにより、多種多様な「互助・共助」の機能を充実させ、地域で支援を必要としている方に対する見守りや支援体制を強化することが可能となります。このような豊富なマンパワーと地域資源は、佐倉市の大きな強みという見方ができます。 佐倉市が持つ豊富なマンパワーと地域資源をより有効に活用しながら、地域の実情に応じた取組みを複合的・重層的に進めていくことで、新たに「互助・共助」のかたちを構築していく必要があります。

4 これから目指す地域像

この章ではこれまで、地域のつながり、「であい」、「ふれあい」、「つきあい」を大切にすることから地域における支え合い、助け合い活動が展開されていくこと、また、新たな地域の活性化について述べてきました。 今後も佐倉市が、活力ある自治体として発展を続け、地域の活性化を推進していくにあたっては、住民同士が近隣の身近な人々との協力や支え合い、助け合いを進め、地域の課題を自主的・自律的に解決していくような地域の取り組みを醸成し、増加させていくことが重要になってくると思います。 そのためには、近隣との支え合いや助け合いを大切にし、困ったときはお互い様の精神を大切にする意識(互助意識)、自治会や地域に存在する様々な団体等の活動に積極的に参加しようという意識(参加意識)、一人ひとりの違いや個性を認め合える意識(共生意識)を持つ住民を増やしていくことが、これからの地域づくりの鍵となっていくと思われます。 そして、こうした住民一人ひとりの意識を高め、地域の課題に関心を持ち、実際に地域福祉活動に参加する住民の増加につなげていくことが、地域における人と人とのつながりを構築し、そこから地域の交流活動が活性化し、地域福祉活動も充実していくことになると考えます。これらを通して、住民自らが、地域で活動し、支え合い、助け合いができる地域の構築のため、第3次地域福祉計画では、次の地域像を目指すものとします。 互いに支え合う地域 地域で生活する中で生まれる様々な課題には、個人で解決できる課題と、防犯や防災など、お互いが連携することで、解決する課題があります。住民が主体となって生き生きと暮らす地域をつくるためには、自ら課題を解決するため、お互いに手を差し伸べ合い、支え合い、助け合うなど、つながりを大切にしていくことが必要です。そのためには、出来るだけ多くの住民が近隣との支え合いや助け合いを大切にし、困ったときはお互い様の精神を大切にする意識(互助意識)を持つことが大切です。 そして、住民同士が日々の暮らしの中の困りごとや地域の課題解決に向けて、相互に助け合うことは、ぬくもりと安心感のある地域の実現に大きく寄与し、暮らしの中の満足感を向上させるものと思います。 多くの人が、人と人の関係を大切にし、支え合い、助け合いのある暮らしの中に、日々の幸福を見出すことができる≪互いに支え合う地域≫をめざします。 ふれあい・交流のある地域 誰もが住み続けたいと思う地域になるには、安心して住み続けるための住宅や道路環境等のハード面や防犯活動等のソフト面の充実した環境があるだけではなく、自治会や地域の様々な団体等への参加、近隣の人々とのふれあい、趣味等の余暇活動を通した交流など、生きがいを持って充実した活気にあふれる毎日を送ることができることも必要です。 現在でも地域には様々な団体等による多様な活動が展開されていますが、今後ともそうした団体等が活発な地域活動を展開していくためには、出来るだけ多くの住民が自治会や地域に存在する様々な団体等の活動に積極的に参加しようという意識(参加意識)を持つことが大切です。 そして、地域の活動に参加する機会が増え、近隣の人とふれあい、交流し、またそうした中で自分ができることを役割として担い、誰かに必要とされたり役に立って感謝されたりといったことが、一人ひとりの住民の心身の健康にとっても大変重要になっています。 多くの人が、自治会や地域の様々な団体等に参加し、近隣の人々とふれあい、交流するなど、活気にあふれた毎日を送ることができる≪ふれあい・交流のある地域≫をめざします。 一人ひとりを認め合える地域 核家族化の進行と同時に、地域住民相互のつながりが希薄化している中で、地域で生活する一人ひとりが、住み慣れた家や慣れ親しんだ地域で生活を続けることが可能な地域社会を構築するためには、人と人のつながりを再生し、多様な人々との交流やふれあいがある地域となっていくことが必要です。そのためには、出来るだけ多くの住民が一人ひとりの違いや個性を認め合える意識(共生意識)を持つことが大切です。 多くの人が、一人ひとりの個性を尊重し、自分とは異なる他者を理解し、異なるものを排除せず、気づき・気づかいを大切にする≪一人ひとりを認め合える地域≫をめざします。 ≪互いに支えあう地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫を構築するためには、住民、地域、福祉の専門機関、社会福祉関係団体、行政等がそれぞれの取り組みを連携させながら、地域における支え合い・助け合い活動を充実させていく必要があります。 それらを通じて、3つの地域像の実現を図り、地域で暮らす一人ひとりが笑顔あふれる地域生活を送ることができるような佐倉市を目指します。

ちょこっと解説

福祉の専門機関、社会福祉関係団体とは? 地域福祉に関係する専門機関とは、高齢者の相談窓口である「地域包括支援センター」、障害者の相談窓口である「相談支援事業所」、子育ての相談窓口である「子育て支援センター」等のことです。このうち、市内に5カ所ある「地域包括支援センター」は、介護保険法に基づく「日常生活圏域」を範囲としています。 また、社会福祉関係団体とは、市内で事業及び施設運営を展開している社会福祉法人、民間企業、NPO法人等のことです。このうち社会福祉法人佐倉市社会福祉協議会(以下「社協」という。)は、「第5次佐倉市地域福祉活動計画(ともに歩むふくしプラン スリー)」を策定し、社協及び地区社会福祉協議会が行う地域福祉活動について規定するとともに、市を3層の圏域に設定し、全市を「基本福祉圏」、5つの「日常生活圏域」を「中域福祉圏」、14ある地区社会福祉協議会の各エリアを「しょういき福祉圏」としています。

第4章 佐倉市の取り組み

1 基本施策

第3次地域福祉計画においては、これから目指す地域社会のあり方について、住民が、近隣の身近な人々との協力や支え合い・助け合いを進めていくことの重要性に改めて着目することとなりました。 第3章で提示した、≪互いに支え合う地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫を構築していくためには、地域で暮らす一人ひとりが他人を思いやり、住民自らが地域の課題を自主的に解決していくような地域福祉活動を充実させていくことが重要であると考えます。 3つの地域像≪互いに支え合う地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫の実現のために、佐倉市は以下の3つを基本施策として進めていきます。

  • 基本施策1:情報の発信・啓発
    3つの地域像の実現に向けては、行政が展開している様々な福祉施策について、適切に情報を発信していくことが求められています。 また、住民一人ひとりが、困ったときはお互い様の精神を大切にする意識(互助意識)を高めることにより、近隣との支え合いや助け合い活動が推進され、自治会や地域に存在する様々な団体等の活動の充実は、多くの住民が積極的に参加しようという意識(参加意識)を高めることによって実現されます。そして、一人ひとりの違いや個性を認め合える意識(共生意識)を高めることで、気づき、気づかいを大切にし、お互いを認め合える多様性のある地域になっていくと考えます。 そのためには、住民一人ひとりが地域福祉に関心を持ち、地域の課題を自分の課題と考えることが必要です。行政として、地域福祉への関心の向上につながる情報を発信し、市民意識を高め、啓発していくための取り組みを推進します。 取り組み 福祉に関する様々な施策について適切に情報を発信します。 地域で実践されている活動を周知するなど、地域福祉への関心につながる啓発に努めます。 認知症、障害等について、正しい知識の理解と普及に努めます。
  • 基本施策2:担い手の確保
    3つの地域像の実現に向けては、地域の様々な活動や団体に参加する担い手の確保が求められています。 現在、国では、少子・高齢化の進展に対し、「地域包括ケアシステム」の構築、「子ども・子育て支援新制度」の推進等の政策を打ち出しており、佐倉市においても「第6期佐倉市高齢者福祉・介護計画」、「佐倉市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、それぞれ施策を推進している他、健康増進、障害福祉等の分野についても、個別計画を策定し施策を進めています。 これらの施策はいずれも公的サービスの充実のみならず、地域において活動に取り組む担い手の確保を進めることとしています。これらの施策を推進する中で、地域の活動に関心を持ち、地域福祉活動の活性化に取り組む人材の育成及び確保に向けた取り組みを推進します。 取り組み 地域福祉活動の担い手の育成、確保を推進します。 地域で困っている人を支援するサポーター等の育成、確保を推進します。
  • 基本施策3:地域の交流活動・福祉活動の促進
    3つの地域像の実現に向けては、地域における様々な地域づくり活動や地域福祉活動等を充実させていくことが求められています。 地域における様々な課題等を適切に解決するためには、各団体が個々の活動を推進するだけでなく、地域の各団体・組織が相互に情報を共有し、合意形成を図り、連携・協力しながら活動を展開していくことが重要です。佐倉市では、小学校区を基準として地域まちづくり協議会の設置を進めていますが、この他にも地域において住民自らが活動し、支え合い、助け合いができるための基盤として、住民が気軽に集まり、交流することができる場や受け皿が今後とも必要です。このような市民活動のできる場や拠点の確保に努めます。また、市民活動の受け皿となる社会福祉関係団体やまちづくり活動に取り組む各種団体等の取り組みを支援し、その活動を促進します。 取り組み 地域の交流活動・福祉活動の場や拠点の確保に努めます。 まちづくり活動に取り組む各種団体等の活動を支援します。 社会福祉関係団体等の地域福祉活動を促進します。

2 成果指標

3つの地域像の実現に向けては、自らの意思に基づいて地域の課題の解決に参加する住民が、地域の様々な取り組みを推進し、また、地域で生活する人々の違いや個性を受け入れられる意識が広まることが、鍵になると考えます。 従って、第3次地域福祉計画の基本施策1情報の発信・啓発に関する成果指標は、以下の市民意識を測定するものとします。

  • 指標 住民同士のつながりを大切にしようと思う意識
    • 現状値 59%
    • 目標値 65%
    • 市民意識調査において、住民同士のつながりが必要かという問について「そう思う」と回答した割合です。
  • 指標 近所の困りごとに協力しようと思う意識
    • 現状値 45%
    • 目標値 50%
    • 市民意識調査において、近所からの困りごとに協力するかという問について「そう思う」と回答した割合です。 指標 地域で住民同士の気づかいができていると思う意識 平成28年度実施予定の市民意識調査の結果を見て、目標値を設定します。
  • 指標 地域で交流・ふれあいができていると思う意識
    平成28年度実施予定の市民意識調査の結果を見て、目標値を設定します。 また、基本施策2担い手の確保及び基本施策3地域の交流活動・福祉活動の促進については、個別計画等における取り組みの進捗調査等の結果を参考指標として、計画の進行管理に活用します。

3 計画の進行管理

第3次地域福祉計画を実効性のあるものとして推進するために、計画に基づく施策の進捗状況とともに、計画全体の成果を検証することが重要です。 このため、「佐倉市地域福祉計画推進委員会」において、その進捗状況を確認していきます。 また、施策の実施にあたっては、柔軟で総合的な取り組みが必要であることから、下記の3つの視点からの検証結果に基づき、必要に応じて改善を図ります。

  • 視点1 住民の視点
    • 項目 計画の周知度、市民意識調査の結果、行政・社会福祉関係団体等に対する要望など
    • 手段 市民意識調査、市民活動に対するヒアリング調査など
  • 視点2 行政の視点
    • 項目 個別計画等における施策の推進
    • 手段 個別計画における進捗調査など
  • 視点3 社会福祉関係団体の視点
    • 項目 社会福祉法人の地域貢献事業、福祉施設と地域との連携状況など
    • 手段 アンケート調査、ヒアリング調査など

コラム(1)

問 地域づくりは誰がするの?

答 支える人も、支えられる人もお互いが喜びを感じながら生活する地域が求められています。高齢者が増え、地域で活躍を期待する若者は減少しています。また、税収の大幅な増加を見込むのは厳しく、こうした状況の中、行政だけで地域を支えていくことは困難になっています。多種多様な住民のニーズに応え、地域のみんなが快適に暮らしていくためには、支え合いの精神のもと、住民が地域づくりに参加することが不可欠です。

問 地域づくりには資格や能力が必要ですか?

答 地域づくりに参加するのに、何か特別な資格や能力は必要ありません。どんな人でも好きなこと、得意なことや強みがあるはずです。まずは自分が興味のある分野で地域に参加してみてはいかがでしょうか?

問 地域づくりって特定の人たちがやっているの?

答 現在、佐倉市の地域づくりには、地域まちづくり協議会、地区社会福祉協議会、自治会・町内会、NPO法人、ボランティア団体等多くの方々が参加しています。また、これらの団体等に属していなくても、個人で隣近所との支えあい・助け合いを実践している人もいます。こうした活動を行う人々や、地域づくりを行っている団体等に参加する人が増えれば、また、新たに活動を立ち上げる団体等が増えれば、地域の交流活動が活発になり、生きがいや、やりがいを感じる行事やイベントも増えるのではないでしょうか。

第5章 地域のためにできること

この章では、≪互いに支え合う地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫を実現することを目指し、地域のためにできることについて、実際に地域で取り組まれている事例を交えながらご紹介します。 ひとりで簡単にできそうなことから、家族や友達とできそうなこと、ご近所に声をかけてできそうなことなどを掲載してみました。
 まずは、地域について話題にしてみてください。 そして、地域で行われている活動に参加してみてください。地域でできることは何か、考えてみてください。 一人ひとりの住民が何か地域のためにできることを行い、「住民自らが、地域で活動し、支え合い、助け合いができる地域」になっていけば、住んでいる地域が、≪互いに支え合う地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫になるのではないでしょうか。

1 地域を歩こう。あいさつしてみよう。

今、私たちは、ちょっと近くにも車で行くほど、車に依存しています。車は便利な乗り物ですが、歩く習慣を失うことで健康の問題につながります。 多くの生活習慣病の原因のひとつに運動不足があります。健康づくりのために、歩くことからはじめてみませんか。自分のペースにあわせて歩く時間、歩く日を決めたり、家族や友人との散歩や仲間と歩くイベントを企画してみるのも楽しいものです。 時間をみつけて歩く中で、見えていなかった風景を発見することもできるでしょう。そして、地域の人とあいさつをしてみてはどうでしょうか。そこから、人との出会いやふれあいも生まれます。それは、毎日の暮らしを豊かにし、町の雰囲気を変えることにもつながると思います。

事例:あいさつから始まる地域づくり

根郷地区民生委員・児童委員協議会では、担当地区の3小学校で「朝のあいさつ運動」を行っています。この運動には、民生委員・児童委員を中心に、近隣住民の方々が、学校周辺の清掃を行い、登校してくる児童に朝のあいさつをしています。 あいさつをすることで、子どもや保護者に顔を覚えてもらい、登校時以外にもあいさつが交わされる関係性が構築されていきます。また、地域で子どもを見守ることで、子どもたちにも地域の中で育てられているということを感じてもらい、生まれ育った「ふるさと」への愛着や地域を大切にする気持ちが育まれていきます。そして、学校と地域との信頼関係も構築されてきたとのことです。

2 気軽に集おう。

かつて地域では、人と人の関係は極めて濃密であり、隣近所同士の協力は、至る所で行われていました。 ところが、近年では、顔は知っているけど話はしたことはないという人、更には、隣に住んでいる人の顔すら知らないという人もいるようです。 もし地域とのつながりを持つ機会がないのであれば、まずは気軽に参加できる場に行くことから始めてみてはいかがでしょうか。 地域には、誰もが参加できる健康づくり活動や、自分たちの趣味を活かした活動をしているサークル等がたくさんあります。ふらっと立ち寄っておしゃべりしたり、仲間と集う。そうしたことから、日々の暮らしの中に笑顔が増えていくのではないでしょうか。

事例:誰でも参加できる朝のラジオ体操

西志津地区では、「西志津スポーツ広場の会」が中心となって、正月3が日と荒天時を除き、毎朝6時30分からNHKラジオの放送に合わせてラジオ体操が行われています。 この活動は、地域住民の誰もが参加できる交流の場として、地域に根付いており、1日平均で200人超、年間で延べ6万人以上が参加しています。 夏休み中は、郵便局からカードを提供してもらい、参加した子ども達には、カードにスタンプを押します。朝礼台に、子ども達に登壇してもらい、子どもの積極性を養うことにもつなげています。 また、毎朝、顔を会わせる中で、あいさつが交わされるようになり、ラジオ体操以外の場で会ってもあいさつが交わされるようになっていきます。 多くの参加者は、いつも同じ場所で体操を行うので、いつも来ている人がいないとなるとあれっと気になり、実はしばらく入院していたとか、家族に不幸があったことなどに気づいたりする場にもなるとのことです。

3 声を掛け合おう。誘い合おう。

現在、地域では、高齢者が増加しています。高齢者にとって、繋がっている人や見守ってくれる人が身近にいることは、大きな支えになります。地域住民を大きな家族のように見立て、地域全体で繋がり、見守りあう関係をつくっていってはどうでしょうか。 そのためにも、まずはどんな人が同じ地域に住んでいるのか、お互いに把握することから始めてはいかがでしょうか。例えば、月に一度の「お茶会」や「おしゃべり会」を地域で催してみるのもいいでしょう。そうした会が回数を重ねて、信頼感が深まれば、お互いの悩みを相談しあえるようにもなり、気づかいや支え合いが自然と地域で生まれてくることになります。 まずは、気軽に声を掛け合い、誘い合うことから始めてみませんか。

事例:地域を活性化させる高齢者のサークル

臼井台地区では、4つの自治会(臼井台区、大名じゅく、ニッコー団地、野口会町会)が協力して、地域に高齢者が増えてきたことから、集まれる場所づくりをしようと呼びかけ、民生委員等も協力し、「いきいきクラブたぐり」という団体を12年前に立ち上げています。この団体は、原則75歳以上の方を対象に、毎月テーマを決めて、介護予防講習や地域の中学生との交流、みんなで歌を歌ったり、おやつを食べての談笑など、気楽に参加できる会を目指して活動しています。 この活動に参加することで友達もでき、家に閉じこもりがちだった方が外に出るきっかけにもなったとのことです。 また、参加している人の中には、自分の能力を活かして、広報や運営などに協力している方もいます。今後とも、現在活動に参加している人だけでなく、いろいろな人を巻き込んでいくことを意識しているとのことです。

4 子育てを応援しよう。

核家族化の進行、就労形態の多様化など、子どもや子育てを取り巻く環境が大きく変化し、子育てに対するニーズも増加・多様化しています。 今まで子育ては、家庭の育児と行政の公的サービスが中心でしたが、もっと地域ができることもあるのではないでしょうか。 子どもは、社会の宝であり、一人ひとりの子どもの幸せは、市民の願いです。家庭や地域、関係団体などが連携して、地域全体で子どもを育むしくみを築いていくことが大切です。地域には子育て経験のある頼れる先輩たちがたくさんいます。自分の子育てが終わった世代にも、地域で子どもを育てるんだ、という意識を持ってもらうことが大切です。地域が支える子育て、地域全体で子育てをすることで、子どもたちにも自分が生まれ育った地域への愛着が育まれていきます。

事例:地域で子育てを応援するネットワーク、交流カフェ

子育て支援活動を行っている団体や個人等が繋がることを目的とした「子育てネットワーク佐倉子育て応援団」というグループがあります。市主催の「子育てリーダー養成講座」を受講したメンバーが、子育て支援活動のネットワークづくりを目的として立ち上げ、現在では、毎月、「佐倉子育てカレンダー」という情報紙を作成し、子育て中の親が孤立することなく、佐倉で子育てすることが楽しくなることを目的に、子育て関係のイベント等を紹介しています。 また、中志津中央商店街で開催している「任意団体NPO子どものまち」の「えんがわカフェ」や「NPO佐倉こどもステーション」の「中志津ステーション」は、多世代交流広場として、乳幼児を連れた親や地域の方が、気軽に立ち寄り、お話しができるカフェです。子育て中の悩みを抱えた、おや同士が交流することで、悩んでいることがスッキリしたり、地域の方と小さいこどもがふれ合うことで、お互いが笑顔になれる場となっているとのことです。

5 絆をつくろう。

現在は、様々なサービスがお金で買えるような時代になり、人に頼ったり、他人の生活に干渉することを避ける傾向になっています。 しかし、それでも人はひとりでは生きていけない存在です。だからこそ、時には周囲に「甘える勇気」も必要になるのではないでしょうか。小さなことでも困ったことがあったら、周りに聞いてみてはどうでしょう。 かつて、家で醤油などの調味料が切れてしまったとき、わざわざスーパーに買い物に行かなくても、隣の家に「貸して」と言って借りることは、頻繁に見られた光景だったと思います。夫婦共働きで子どもを育てている家庭が、ちょっと近くに出かけるときなど、ご近所の家に子どもを預かってもらうことも多かったのではないでしょうか。 隣近所で気軽に色々と話せて頼める関係になって、人知れずお互いを思いやる関係が地域で出来上がってくれば、暮らしやすい地域になると思います。

事例:ご近所の有志による見守り・助け合い活動

佐倉地区の栄町町内会には、有志によりご近所同士の支え合い、助け合い活動を行っている「なごみ会」というグループがあります。「なごみ会」では、毎月1回町内会集会所に集まり、サロンのようにおしゃべりをする中で、ご近所同士の情報交換をしています。 家の建て替えに伴う引っ越しで荷物整理に困っている会員がいた時、なごみ会の仲間が荷物の整理やゴミ出しの手伝いをしてくれて、助けられたとのことです。普段から近所で声を掛け合って、押しつけではなく、気持ちよくさらりと行動できる関係を大切にしているとのことです。 また、町内会、子供会と連携して、世代間交流会や餅つき大会を実施したり、最近では、地区の民生委員が会員になってくれたことで民生委員との連携も出来ているとのことです。

6 安全・安心のかけ橋になろう。

自分が住んでいる地域が安全で、日々、安心して生活したい、と誰もが思っています。 しかし、地域の安全・安心は行政だけでつくれるものではありません。地域の住民が無理をせず、できることから安全・安心の輪を広げていくことがとても大切です。まず初めに、子どもたちの登下校時の見守り活動などから始めて、地域全体で「ただいま」、「おかえり」、「いってきます」を言い合える関係をつくっていってはどうでしょうか。 地域の大人から声をかけられることは、子どもたちにとってもありがたいことです。物怖じしないでどんな世代の人ともつきあえる子どもたちが育まれていきます。 また、登下校時に地域の「見守り活動」を実施すれば、子どもの安全を守る活動や地域の防犯活動にもなっていきます。地域の安全・安心はちょっとしたことからつくられていくと思います。

事例:小学生の下校時見守り活動

臼井小学校の通学路となっている臼井台区と大名じゅくでは、毎日、住民が自主的に児童の見守り活動を行っています。 この活動は、学校の安全が損なわれる事件が多発したことを受けて、地域の住民が、子どもたちの安全確保に向けて取り組みを始めたとのことです。 この活動を通して、メンバー同士だけでなく、臼井西中学校生徒との挨拶や地域住民にも活動が連鎖したことで、道で会った人と自然とあいさつが交わされ、会話も生まれてきました。 そして、人とのつながりが出来てきたことで、最初は義務感で参加していた人も、徐々に活動の楽しさ、やりがいを感じ、今では毎日かかさずに参加している人もいるとのことです。この活動や「防犯パトロール」を通じて、地域の安全・安心を自分たちで確保しようという気運が高まっているとのことです。

7 支え合い、助け合いに参加しよう。

「顔は知っているけど、あんまり話したことは…」。ご近所との関係がそのようになっている傾向が増えているようです。今、昔と比べて近所づきあいが薄れてきているのではということが懸念されています。近所づきあいがなくなるということは、日々の生活で何か困ったことがあるときに、手助けを依頼することができない、そんな状況につながる恐れがあります。 今、公的サービスの隙間を埋めるちょっとした困りごとの相談、お手伝いといったような、住民が主体となった地域での支え合い・助け合い活動が注目されています。こうした活動は、確かに「お世話する」ことや「ボランティア」という面では文字通り福祉かもしれません。しかし、「お世話」という意識を超えた所にこそ、本当の意味での福祉が存在しているのではないでしょうか。支えられる人だけでなく、支える人もやりがいや生きがいを感じ、お互いに「笑顔」が増える。そんな活動が地域で一つでも増えていくことを願っています。

事例:地域で開かれているふれあいサロン

染井野地区では、地域の助け合い活動を展開する「思いやりヘルプサービスそめいの21」というグループがあります。そめいの21では、毎月第1火曜日に染井野中央集会所で「染井野ふれあいサロン」を開催しています。 サロンは高齢者の引きこもりを防ぐだけでなく、知らない人同士の出会いの場にもなっています。また、運営に携わっているボランティアには、得意な分野で参加してもらうという姿勢を大切にしています。 16年間活動を続けているサロンですが、特別なことをしているという意識はなく、ボランティアは無理をしたら続かない、自分達も楽しむというスタンスで活動することが長く続いている秘訣とのことです。そして、ここに来ると、何か多少なりとも役にたっているかなと思えるし、自分も元気をもらっている感じになるとのことです。支える人も支えられる人もお互いに生きがいになっているとのことです。

8 違いを認め合おう。

人は、人と関わり合い、社会で共存しながら生活しています。地域にはいろいろな人が生活しています。自分とは違う特徴や個性を持っている人も多くいるでしょう。 人は誰もがかけがえのない存在です。障害のある人もない人も、誰もが活き活きと生活できる地域を実現するためには、市民一人ひとりが「みんなちがって、みんないい」という気持ちを持つことが求められています。 障害のある人も、その人らしく暮らせる地域の実現のためには、当事者や家族だけでなく、近隣や地域をはじめ、ボランティア、障害者関係団体、行政機関、教育機関など多くの人たちのつながりが大切です。 障害のある人が障害のない人と同じような社会生活を送ることができる地域の実現に向けて、障害について正しく理解すると同時に、誰もが相互に人格と個性を尊重し、認め合い、支えあう地域を実現することが求められています。

事例:障害児・障害者のための健康づくり運動教室

市内在住の障害のある本人と親の会である「佐倉市てをつなぐ育成会」では、月2回程度、市内公共施設で、発達に支援の必要なこども・おとなのための健康づくり運動教室「ちゃれんじどフィットネスクラブ」を開催しています。教室は、順天堂大学等の学生ボランティア、佐倉市ボランティア連絡協議会にも協力していただき、運営されています。 教室では、知ってみようと思う気持ちをお互いに持っていれば、分かりあえるというスタンスで、障害に関心がなかった方や障害児に全然接したことがない方の参加も歓迎しています。そして、障害児・障害者が、他の人と関係ができて、理解してもらったことを嬉しく思えるようになり、地域での生活でも自分の気持ちを出しやすくなることを願って活動に取り組んでいるとのことです。

コラム(2)

“笑顔”と“あいさつ”から始まる地域のつながり。 今、地域での関係性が希薄化していると言われています。特に若い人たちは地域とのかかわり合いに躊躇しているのではないでしょうか。 こうした中でも、地域と積極的に関わり、活動している人たちもいます。ここでは、地域の活動に取り組んでいる方々の声を紹介します。 最初に、長年、視覚障害者支援の実践と研究に取り組んでいるFさんです。 「生活の中で大切にしていることは“笑顔”と“あいさつ”です。この二つを実践することで、地域の中で暮らす際に近隣住民との関わりがスムースにできるのではないかと思います。」 「何回か“笑顔”で“あいさつ”をしていると立ち話をするようになります。そこに、子どもが介在するとさらに和みます。近所で単身生活をしているおばあちゃんと会話ができるようになりました。そして、健康維持のために夏休みに自宅の前で息子と妻とラジオ体操を始めたら、近所の二人のおばあちゃんが参加してくださるようになりました。このことを通して、お裾分けが始まり、今ではお互いに“つきあい”に発展しています。」(Fさん) 次に、民生委員・児童委員として地域を駆け回っているNさんです。 「地域で自分にできることをお手伝いしようと思って参加しています。大切なのは、まず“あいさつ”すること。子どもたちに朝「おはよう」と声をかける運動に参加しています。元気に返事を返してくれる子、そうでない子、いろいろな子がいますが、“あいさつ”することであたたかい気分になります。自分が子どもたちから元気をもらっています。」(Nさん) “笑顔”で“あいさつ”をして近隣の人々と関係を持ち、地域で何か活動を始めることで、生活に潤いが生まれるだけでなく、お互いの安心にもつながります。住民一人ひとりが “笑顔”と“あいさつ”を大切にする地域は、子どもたちにも人と人とのかかわりの大切さを学んでもらえる地域だと思います。 最後に、定年を機に地区社会福祉協議会の活動に参加を始めたIさんです。 「社会参加することで恩返しをと思い立ち、何から手を付けていいか戸惑っていました。そんな矢先、たまたま受講した3か月の福祉関係の勉強が全く畑違いの私への呼び水になったのです。」 「地域福祉活動の目的は、困りごとが起きたとしても、これまでつくりあげてきた家族、友人、知人との関係を保ち、文化やスポーツ、芸術、趣味などの社会的な活動に参加できることで、誰もが自分らしく、誇りを持って、まちの一員として普通の生活を送ることができるようになることだと思います。」(Iさん) 心豊かに、安心して暮らせる地域社会を構築するための第一歩は“笑顔”と“あいさつ”から。そこから近隣の人々との支え合い・助け合いが始まり、お互いを尊重し、個性や違いを認め合う多様性のある地域になっていくと思います。 福祉関係、医療関係等の専門機関、ボランティア団体や個人でボランティア活動を行っている方々、まちづくりに取り組む各種団体、そして住民一人ひとりが協力しあい、≪互いに支え合う地域≫、≪ふれあい・交流のある地域≫、≪一人ひとりを認め合える地域≫の実現に向けて、力を合わせて頑張りませんか。

資料

1 「第3次佐倉市地域福祉計画に向けた提言」(平成26年1月 (抜粋)

3.第3次佐倉市地域福祉計画に向けた提案
  1.  地域における相談・支援体制について 第2次佐倉市地域福祉計画では、地域を3層の圏域に設定し、市全域を「基本福祉圏」、高齢者福祉・介護計画に定める5つの日常生活圏域を「中域福祉圏」、14の地区社会福祉協議会のエリアを「しょういき福祉圏」と位置付けています。 計画においては、「中域福祉圏に(仮称)地域福祉コーディネーターを配置した、総合相談窓口の設置を検討する」となっています。これまで、(仮称)地域福祉コーディネーターの配置について、市では、地域福祉計画庁内検討会において議論・検証を重ねるととともに、地域福祉計画推進委員会、地域福祉推進会議においても議論を重ねてきました。 検討の結果、地域における相談・支援体制のあり方については、住民に一番身近な「しょういき福祉圏」において、住民相互による支え合いや助け合いである「互助・共助」を高めていくことが何よりも求められているという結論に達しました。 また、中域福祉圏においては、地域包括支援センター(高齢者)、相談支援事業所(障害者)、子育て支援センター(子ども)等の各専門機関がそれぞれ専門性・スキルを高めるとともに、機関同士の連携による支援や地域とより密着した事業を展開していく必要があります。 そして、行政は、「こうじょ」として基盤事業や各種法的サービスの整備・展開を着実に行いつつ、重層的課題に対しては、関係部署や専門機関と連携して対応に当たり、また、中域福祉圏の専門機関やしょういき福祉圏で展開される様々な活動に対する支援を行う体制を構築していくことが必要だと考えます。 福祉の相談といっても、内実は多種多様であり、身近な人との日常会話の中で解決されるものもあれば、専門機関の介入が必要になるものまで千差万別であろうと思われます。(仮称)地域福祉コーディネーターを配置した総合的な相談窓口を整備する体制よりも、住民に一番身近な隣近所や自治会・町内会、中域福祉圏と位置付けられた市内の各専門機関、基本福祉圏である行政等がそれぞれ適切な繋ぎを行い、寄せられた相談や課題に対して支援の輪が広がって行くような、有機的な福祉のネットワークを地域全体で構築していく必要があります。 相談・支援や地域において存在する様々な社会資源の調整・コーディネートについては、(仮称)地域福祉コーディネーターを設置して、コーディネーターが相談・支援に関して責任を負うという体制ではなく、地域福祉の推進主体である佐倉市社会福祉協議会がその中心的役割を担う必要があると考えます。 そして、行政や専門機関、まちづくり協議会、佐倉市社会福祉協議会、地区社会福祉協議会、自治会・町内会、民生委員、NPO法人、ボランティア団体等、福祉やまちづくりに関係する様々な機関や団体等が、それぞれコーディネートしていく機能を持っていることを認識し、寄せられた相談や課題に対して、適切な繋ぎや支援の輪が広がって行くような地域づくりを進めていく必要があります。
  2.  行政と佐倉市社会福祉協議会の協働、連携 民間の社会福祉法人である佐倉市社会福祉協議会は、地域福祉の推進主体として、今後とも重要な位置を占めることと思われます。また、地域に存在する様々な社会資源を調整し、課題を抱えている人と地域の社会資源、又は各団体間を繋ぐ「コーディネート役」として、地域に根ざした草の根レベルの活動を担うことになろうと思われます。 一方、行政は、「こうじょ」として各種基盤事業・法的サービスの整備・展開を担うとともに、中域福祉圏として位置付けられた地域包括支援センターや相談支援事業所、子育て支援センター等の専門機関やしょういき福祉圏で展開される地域づくりを支援するという役割を担うことになります。 これからの地域福祉の推進に関して、行政と佐倉市社会福祉協議会との協働と連携は従来と同じく欠かせないものですが、両者の関係については、「パートナーシップ」という観点から捉える必要があると考えます。 官と、みんというお互いの立ち位置の違いを踏まえ、互いに対等なパートナーとして、互いの合意に基づく役割分担をしながら、地域にとってプラスとなる取組みを展開していこうというのが、地域福祉の推進に関する行政と佐倉市社会福祉協議会の「パートナーシップ」になると考えます。 今後の地域福祉計画(行政)と地域福祉活動計画(社協)の展開については、機関同士のパートナーシップの形成として発展的に捉えなおす中で、地域社会の構築についてお互いに目的を共有しながら、行政の施策と佐倉市社会福祉協議会の取組みに食い違いが生じないよう、事務局連絡会議においてすり合わせをしながら取り組んでいくことが必要になると考えます。
  3.  次期計画の位置付けについて 次期計画の位置付けについては、これまで述べてきたような観点を踏まえて再考する必要があると思われます。佐倉市には各個別分野において、既定の法定計画等が存在しています。これらの個別計画と地域福祉計画との関係性については、佐倉市での生活圏域という観点と生活する人のライフステージという観点との、2つの軸から整理することができるのではないかと考えます。 これまでは、地域福祉計画を福祉関連計画の上位計画として位置付けておりましたが、基本福祉圏と中域福祉圏においては、地域福祉計画が上位計画として、各個別の関連計画と整合性及び連携を図りながら取り組みを進めていきます。一方でしょういき福祉圏の取り組みについては、佐倉市社会福祉協議会の地域福祉活動計画が中心となり、行政の地域福祉計画や各個別計画が佐倉市社会福祉協議会の活動計画を支えながら取り組みが展開されていきます。 ライフステージに応じた各個別の分野において、その分野の個別計画が上位計画となり、地域福祉計画をはじめとする関連計画が個別計画の取り組みを支えながら進めていきます。 地域福祉計画は各個別計画の領域を相当程度包含している計画になります。各個別計画については、それぞれの策定段階において課題の収集や市民意識調査等を踏まえて策定をしていることから、地域福祉計画において個別具体的な課題を収集し、それに対する施策や方針を位置づけることは、あたかも二重の取り組みを行政が行っているという色彩を帯びてしまうことも危惧されます。 従いまして、第3次佐倉市地域福祉計画においては、各個別計画との整合性を図りつつ、各個別計画には書かれていない分野である「これからの佐倉市の地域づくり」に、より焦点をあてた計画を策定する必要があると考えます。 また、地域福祉計画とは、「住みよい地域社会を目指して、地域住民が自らの生活課題を自ら解決する仕組みをつくる計画」だと思われます。地域の住民が、共に支え合い、助け合うという福祉活動を推進するとともに、地域で活動している団体や事業所、専門機関と行政等が連携して、従来の公的サービスだけでは解決できなかった課題等の解決を目指し、安心して幸せに暮らせる地域社会を創るための基本的理念や方針について、PDCAサイクルの観点から計画を策定する必要があると考えます。
  4.  第3次佐倉市地域福祉計画の柱となる具体的な提案
    • 提案1 住民が互いに支えあい、活躍する地域 生活の中には、個人で解決できる課題と、防犯や防災など、お互いが連携することで、解決できる課題があります。 住民が自ら課題を解決する地域、住民がお互いに手をさしのべ合い、支え合い、助け合うなど、つながりを大切にする地域、住民(地域)が住民を支援する地域、多様な主体が連携し協力している地域など、住民が主体となって生き生きと暮らす地域をつくるためには、出来るだけ多くの住民の参加が必要です。 多くの住民が近隣との支え合いや助け合い、地域の活動に参加できるよう啓発し、そのための仕組みをつくることを提案します。 また、第3次佐倉市地域福祉計画を読んだ住民が、自ら主体となって地域の課題を解決していくために立ち上がり、行動を起こすきっかけとなる計画を策定する必要があります。そのため、地域において取り組みが行われている優れた事例を掘り起し、他の地域へ波及させていくことができるような計画を策定することを提案します。
    • 提案2 安心して住み続けられる地域 地域で生活する誰もが安心して住み続けるために、家を出てから安全に目的地に着くことができ、地域で仕事や生きがいを持って充実した生活を送ることができ、多様な余暇活動や趣味等に打ち込み、活気にあふれた毎日を送ることができる、安全、安心に暮らせるやさしい地域づくりにつながる計画を策定することを提案します。
    • 提案3 多様な人々の交流、ふれあいがある地域 核家族化が一段と進行し、地域住民相互のつながりが脆弱化しています。また、何らかの課題を抱えている方でも、住み慣れた家や慣れ親しんだ地域で生活を続けることが可能な地域社会を構築することが求められています。 人と人のつながりを再生し、住民がお互いに支えあい、助け合う地域をつくっていくため、多様な人々の交流やふれあいがある地域づくりにつながる計画を策定することを提案します。

2 「第2次佐倉市地域福祉計画報告書」(平成27年10月)(抜粋)

6.第2次佐倉市地域福祉計画の総括
  1. 計画策定の手法について 第2次地域福祉計画は、住民福祉座談会、福祉施設等へのヒアリング調査及びアンケート調査(市民満足度調査)を行って、住民の生活課題を収集し、その課題の解決にあたるべき事業主体ごとに整理するという手法で策定されました。 その結果、第2次地域福祉計画には、行政が解決に取り組むべき課題とその方策を規定し、民間で取り組むべき課題は、佐倉市社会福祉協議会の第4次佐倉市地域福祉活動計画(ともに歩むふくしプラン ツー)(以下「地域福祉活動計画」という。)に位置付けられています。
    1.  成果 地域社会において住民が抱えている多様な課題が浮き彫りになりました。
    2.  課題 一口に生活課題といってもその内容は多種多様であり、住民は、それぞれの置かれた立場や状況により様々な生活上の課題を抱えています。例えば、子育ての悩みがある人にとっては、子育てに関する悩み等が主な生活課題になると思われます。身内に介護が必要な方がいる人は、高齢者福祉・介護に関する生活課題を抱えているでしょう。また、障害をお持ちの方にとっては、障害に伴う生活上の不便やノーマライゼーション等が大きな生活課題でありましょう。その他にも、地域で生活を送るなかで、防災・防犯活動や自治会活動等を課題と認識されている人々もいます。 このように広範にわたる生活課題を収集し、それに対する対策を一つひとつ提示するという方法で策定された第2次地域福祉計画には、人が生まれてから亡くなるまで、更には、隣近所などの身近な場面における取り組みから、行政が全市的に展開する公的サービスに至るまで、極めて広範な取り組みが位置付けられています。しかし、それらの取り組みが体系的に十分に整理されているとは言えない状況にあると思われます。 更に、施策分野別の行政計画(以下「個別計画」という。)で取り組んでいる施策が、再掲載される形で組み込まれていますが、それらと個別計画における施策体系やその優先順位との整合が十分ではないように思われます。 また、市では「第4次佐倉市総合計画」(以下「総合計画」という。)を策定し、まちづくりの基本方針である「基本構想」に基づき、市政全体として推進すべき施策を体系的に定めており、地域福祉活動の推進は、その中でも位置付けられています。 地域福祉計画において、他の行政計画に基づき実施を予定している具体的取り組みを、あらためて規定することの意味についても検討が必要であると考えます。また、本報告書の第5章に記載されている≪今後の課題≫につきましては、個別計画において取り組んでいる課題であることから、引き続き個別計画において課題の解決に向けた取り組みを進めて行く必要があると考えます。
  2. 計画策定の体制について 第2次地域福祉計画の策定作業は、佐倉市社会福祉協議会の策定する地域福祉活動計画の策定との合同作業という形で行われました。具体的には、市と佐倉市社会福祉協議会が、合同作業部会を設置して、第2次地域福祉計画で取り組む課題と地域福祉活動計画で取組む課題とに振り分けるとともに、行政と民間の事業者が協働で取り組む課題については、両計画の策定委員が参加する部会を開催して、協議を行いました。その結果、両計画はともに、基本目標3に「協働のしくみづくり」を規定して、重点目標や取り組みの方向を共有しています。 また、地域福祉推進のための圏域については、両計画の推進委員会が合同で設置した地域 福祉推進会議において検討が重ねられ、圏域の機能や役割等について共通理解が図られています。
    1.  成果 両計画の策定後も、地域福祉推進会議は継続的に開催され、地域における相談・支援体制等について協議、検討が重ねられました。その結果は、平成25年10月に「地域福祉推進会議の報告」として公表されています。報告においては、これからの地域福祉の展開に関して、「地域における支えあい・助け合いの構築」を基本的方向とすることが打ち出され、次期の両計画において、共通の目的として引き継がれるべきものとされています。
    2.  課題 地域福祉推進会議は、第2次地域福祉計画と地域福祉活動計画の専門部会として位置づけられており、両計画の推進委員会から3名ずつ委員を選出して構成され、両計画に共通する課題について協議した結果を、両推進委員会に対し、意見としてフィードバックすることとなっていました。 地域福祉推進会議の設置は、市民協働という観点からは一定の評価をするべきものではあり、市と佐倉市社会福祉協議会の連携は、現状でも、地域福祉に関する事業として、敬老事業、障害に関する市民講座、権利擁護、生活困窮者支援等が行われており、今後とも、地域福祉の推進に関して、欠かせないものでもあります。 しかし一方で、両者の関係は、地域福祉の推進のためにパートナーとして連携しながらも、それぞれの立場からその独自性を保ちつつ、お互いにその機能を発揮することで、地域にとって相乗効果を生み出す取り組みが展開されていくものと考えます。 そうした観点から、次期の地域福祉計画の策定に際しては、地域福祉活動計画との基本的性格の違いや関係性等を明確にしたうえで、計画策定における市と佐倉市社会福祉協議会との協議や連携の手法について検討が必要であると考えます。
  3. 第3次佐倉市地域福祉計画の策定に向けて(基本的な考え方) 第1期推進委員会は、その提言書において、第3次佐倉市地域福祉計画(以下「第3次地域福祉計画」という。)は、「各個別計画との整合性を図りつつ、各個別計画では、規定されていない分野である“これからの佐倉市の地域づくり”に焦点をあてた計画を策定する必要がある」という意見を提示しています。 また、地域像として、「住民が互いに支えあい、活躍する地域」、「安心して住み続けられる地域」、「多様な人々の交流、ふれあいがある地域」という、3つの姿を提案しています。 この提言を土台に、当委員会における議論により、これまでに確認した、地域福祉計画の成果と課題を踏まえて、以下の提案をさせていただきます。
    1. 計画のあり方: これまでの地域福祉計画においては、その策定過程において、地域で住民が抱えている多様な課題を明らかにすることができましたが、一方では、個別計画や総合計画との役割分担等の整理が不十分であるという状況がみられます。 そのため、第3次地域福祉計画の策定に際しては、これまで以上に効率的な行政運営が求められる現状を踏まえて、個別計画との役割(機能)の分担など、計画のあり方について見直しを行うことを提案いたします。
    2. 計画の策定体制: 佐倉市社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画との関係については、次期の地域福祉計画及び地域福祉活動計画において、「地域における支えあい・助け合いの構築」を、地域福祉を推進するための共通の目標とすることを前提に、両計画の基本的性格の違いや関係性等を明確にしたうえで、市と佐倉市社会福祉協議会がそれぞれの立場から責任を持って、それぞれに計画を策定していくことを提案いたします。
    3. 計画の内容:
      • 佐倉市では、社会福祉法第107条の規定により「地域福祉計画」に定めるべきとされている事項のうち、「地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項」及び「地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項」については、既に各個別計画において、定められていることから、第3次地域福祉計画においては、その内容を、「地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項」に焦点を当てることを提案いたします。
      • 地域で生活する誰もが、住み慣れた家や慣れ親しんだ地域で、安心して幸せに暮らすことができ、「この地域に住んで良かった」、「この地域に住み続けたい」と思えるまちづくりを推進するためは、住民はもとより、地域で活動している団体や事業所、専門機関や行政等が連携して、従来の公的サービスだけでは、解決できなかった課題や、今後想定される新たな課題の解決を図っていくことが求められます。第3次地域福祉計画においては、その実現に向けた取り組みの基本的方針について提示することを提案いたします。
      • 住民一人ひとりが地域づくりに参加するためのガイドブックの役割も担えるように、計画本文に加えて、住民が主体となって地域で取り組まれている様々な地域福祉に関する活動を掲載することを提案いたします。

資料3 佐倉市地域福祉計画推進委員会委員名簿

第1期推進委員会(任期:平成24年2月14日から平成26年1月31日)
  1.  ふかさわ しげとし 学識経験者 会長
  2.  さがわ あきら 社会福祉事業者 副会長
  3.  かねさか まこと 佐倉市社会福祉協議会
  4.  いなむら たえこ ボランティア団体
  5.  たかおか よしこ 民生委員・児童委員協議会
  6.  たかいし そういちろう 地域団体
  7.  すみよし あきこ 公募による市民
  8.  たかい くみこ 公募による市民
  9.  たかみ しゅうじ 公募による市民
第2期推進委員会(任期:平成26年5月10日から平成28年3月31日)
  1.  ささき とくこ 学識経験者
  2.  さがわ あきら 社会福祉事業者 副会長
  3.  かねさか まこと 佐倉市社会福祉協議会
  4.  いなむら たえこ ボランティア団体
  5.  くろかわ たかお 民生委員・児童委員協議会 会長
  6.  たかいし そういちろう 地域団体
  7.  いしはら しげき 公募による市民
  8.  たかい くみこ 公募による市民
  9.  ながやま なおこ 公募による市民

ささき とくこ氏の任期は、平成27年4月1日から平成28年3月31日 (前任の学識経験者 ふかさわ しげとし氏(会長)の辞任に伴い後任委員として就任) くろかわ氏の会長就任は、平成27年4月1日から。

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